お見送り

貯血は自分の腕の筋肉に力を入れたり、抜いたりすると、比較的早く血が抜けますが、点滴はそうもいきません。

 

4人の医師と1人の看護師が私の点滴が終わるのを待っている異様な光景…。

 

(先生、私の事は大丈夫なので、仕事に戻ってください…)と、心の中で思っていましたが、それを言える雰囲気でもなく…。

 

「〇〇さん、もうすぐ半分ですねー」

 

(気まずい…、気まずい、点滴早く落ちろー!)

 

特に世間話をするわけでもなく、点滴が落ちきるまで約20分。

 

修行の時間が終わりました。

 

「〇〇さん、お疲れ様でした。次は2週間後ですね!玄関まで送ります!」

 

「え、いやいやここで大丈夫ですよ、来た道帰るだけなんで…」

 

「いえいえ、送ります」

 

「………」

 

「今建て替えしてるんで、迷路みたいでしょ。こっちから行った方が早いですよ」

 

近道を教えてもらい玄関へ。

 

「ではまた2週間後!よろしくおねがいしますね」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

お互い一礼すると、先生は走って帰って行きました。

 

(先生、やっぱり忙しいよなぁ。主治医の〇〇先生に見送るように指示されたんかなぁ?)

 

健康診断でもそうでしたが、ドナーのVIP待遇?には、色んな人に申し訳ない気持ちになりました。