麻酔酔い

「うぅぅぅ、気持ち悪い………」

 

病室に戻った途端、激しい吐き気に襲われました。

 

朝から何も食べていないのですが、胃液か唾液か何かを吐きました。運良くゴミ箱が手の届くとこにあったので助かりました。

 

まもなくして看護師さんが、体温と血圧、酸素濃度を測りに来られました。

 

「〇〇さん、大丈夫ですか?」

 

 

「うぅぅ、気持ち悪くてさっき吐きました」

 

「麻酔酔いですかね、しばらく安静にしていてくださいね」

 

 

30分後、「〇〇さん、昼ご飯です。ここに置いておきますね。ゆっくり召し上がってくださいね」

 

 

少し横になったからか、気持ち悪さは少しマシになりました。

 

昼ご飯は、サバの塩焼き、豆乳味噌汁、茄子の梅肉和え、白米200グラム。

 

少しマシになったとはいえ、気持ち悪さは残っているので、ご飯を食べるのが苦痛で仕方ありません。せめてもの救いは茄子の梅肉和えが爽やかで食べやすかったこと…。

 

普段は10分かからず完食する量ですが、30分以上かかってしまいました。

 

13時にまた看護師さんが来られました。

 

「〇〇さん、体温、血圧、酸素濃度はかりますね。………、大丈夫ですね。安静解除になります。あとオムツも脱ぎましょうか」

 

 

手術前は自分の下着を履いていたのですが、手術後にはオムツに履き替えられていました。

わかってはいましたが恥ずかしい……

 

「最初にトイレに行くときは、付き添いますんでナースコールで読んでくださいね。」

 

看護師さんが出ていくとオムツを脱いでトイレへ。

本当は看護師さんを呼ばないといけないんですが、恥ずかしさと申し訳無さから、一人で行ってしまいました。

骨髄採取後

トントン、「………〇〇さん」

 

肩を叩かれたからか、名前を呼ばれたからなのかわかりませんが、目が覚めました。

 

「ウッ」

 

気管挿管されているため、吐きそうに。

胃カメラを入れられている感覚です。

 

それを見たタイミングで、医師が上手に管を抜いてくれました。

 

「〇〇さん、終わりましたよ〜」

 

意識はしっかりしているんですが、声が出ません。

 

動かせるのも目だけ。

 

すでにベッドに寝かされており、看護師さん二人がベッド押してを来た道を戻って行きます。

 

エレベーターに乗って病棟、病室へ。

 

 

病室へ戻り、看護師さんがベッドを元通りにセットしてくれます。

 

徐々に意識がはっきりしてきました。

 

 

 

「終わった………」

 

やり切ったという気持ちではなく、

いつの間にか終わっていた、

といった感覚の方が正しいでしょうか。

ホッとした感覚もあり、

これで終わり、と寂しさもあり。

色んな感情が入り交じりました。

 

あとは…

「うぅぅ、気持ち悪い………」

手術

看護師に付き添われて手術棟へ。

 

手術棟の前にはすでに何名か患者さんが並ばれていました。

皆さん午前中に手術を受けられる方々みたいです。

私もその後ろに並び、順番が来ると看護師さんが、

 

「おはようございます、生年月日とお名前おねがいします」

 

「〇〇年〇月〇日、〇〇です」

 

「〇〇さんですね、ではこちらへどうぞ」

 

手術室へ案内されました。

 

 

まず驚いたのが、手術室の多さです。

 

大学病院ということもあり、二十数室の手術室がありました、早いところでは、すでに手術が始まっているところもありました。

 

手術室では、すでに看護師さん達が、手術の準備をされていました。

 

手術室はモニターが沢山あり、ドクターXで見たようなあんな感じのとても広い部屋。何畳あるのか…。

見たこともない器具が、沢山置いてありました。

 

「〇〇さん、こちらへお座り下さい」

 

手術台の横に置かれたストレッチャーに座らされました。

 

「〇〇さん、おはようございます」

 

担当医師の方々が続々と入ってきました。

 

「よろしくお願いします。手術室入るの初めてのなんで、何かすごいですね…」

 

「色々置いてますよね。もうすぐ始まりますからね」

 

キョロキョロ、不審な私。

 

「〇〇さん、こちらの帽子を被って横になって下さい」

 

不織布の帽子を被って、ストレッチャーに横になります。すると、初めての見る医師が、

 

「〇〇さん、麻酔医師の〇〇です。今から麻酔入れていきますね。まず目がクラクラする薬を入れます」

 

左手に点滴が刺され、薬を入れられると目が回った感じに。

 

「〇〇さん、気分はどうですか?」

 

「目が回ってます、上から下に景色が動いてます」

 

「じゃあ麻酔いれますね」

 

次の瞬間、目の前が真っ暗になりました………。

手術当日の朝

いつも通り6時に目が覚めました。

起きたらもう絶飲食。

 

 

コンコン、「〇〇さん、おはようございます。血圧測りますね。………。大丈夫ですね。あと弾性ストッキングを履いてもらわないといけないので、脚のサイズ計測しますね」

 

「………」

 

「〇〇さん、凄く脚が長いですが、ふくらはぎは細いですね…。Lサイズだとブカブカです。ストッキングのサイズがありませんね(笑)」

 

身長186cmあるのですが、私の体重は70kg弱。

 

ストッキングもふくらはぎの長さに合わせると、ブカブカになります。

 

「………、ちょっと先生に聞いてきますね。」

 

 

しばらくして看護師さんが戻ってきました。

「コンプレッションかかっていないといけないんで、少し短いですがMサイズでいきましょう。」

 

渡されたストッキングを履いて待機です。

 

テレビを見ていると、看護師さんがやってきました。

 

「〇〇さん、手術室へおねがいします」

 

「はい、よろしくおねがいします」

病院食

コンコン、「〇〇さん。夕食です」

 

「やった!そう言えばそんな時間だ!」

 

 

 

「…………、少ない………」

 

ここが病院だったことを忘れていました。

 

いくら私が健常者でも、カロリーや栄養素が計算された食事。

 

今夜のメニューはタチウオの幽庵焼き、キャベツの肉味噌炒め、人参とインゲンの和物、ご飯は180g。

 

食べてしまえばそこそこ満足感は得られるのですが、普段マラソン、自転車をしている私にはかなり物足りないもの。

 

完食後、下膳するのと同時に、コンビニへ買い物に行きました。

 

「うーん、お菓子と甘いものが欲しい…」

 

ということで、パウンドケーキとおかきを買って帰りました。

 

 

病棟のフリースペースでプロ野球を見ていると、

入院されているお婆さんが声をかけてくれました。

 

「あなた若いんだから、入院中も体を動かさないといけないよ。私はご飯を食べたらいつも動くようにしているんだわ」

 

「そうですね、入院中は運動不足になりますもんね」

 

もちろん、骨髄採取なのですぐに退院しますとも言えず。

 

 

血液内科に入院されている方は、何ヶ月も入院されると聞きます。おそらくこのお婆さんも。

 

病棟ですれ違う方々は、おそらく放射線治療によるものが、スキンヘッドにされている方や、帽子を被られている方も多く、明らかに顔色の優れない方もおられました。

 

こういった方々の中に健常者が入院するのは、なんだか変な感じです。

 

 

コンコン、「〇〇さん、就寝前の検温です。これからは水分のみで、食物は食べないでください。水分も明日6時以降は摂らないでくださいね。」

 

明日の手術は9時から。

やっと辿り着いたという安堵と、手術、全身麻酔という初めての事に対する不安、色々な気持ちが交錯する一晩を過ごしました。

入院初日はまだまだ終わらない

コンコン「失礼します」

 

今度は少し年配の看護師さん。

 

「看護師長の〇〇です。お困りごとありましたら何でも言ってくださいね」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

 

コンコン、「〇〇さ〜ん」

 

先程採血して下さった担当医師でした。

 

「採血の結果が出ました。〇〇さん問題なしです!」

 

「良かったです。これで明日採取ができますね!」

 

「私達血液内科は、普段こんなにいい数値の血液検査結果を見ることがないんで、新鮮ですね(笑)」

 

 

コンコン、「失礼します」

 

「〇〇さん、こちらのDVDを観ていただきたいのですが。転倒防止のためのDVDなので、〇〇さんは大丈夫だと思いますが、規則なので…。流す程度で大丈夫です。」

 

「病院も色々大変ですね…」

 

 

コンコン、「〇〇さん、シャワーの順番になりました。15分間になります。こちらのストップウォッチで測って入ってください。シャワーが終わったら、ストップウォッチはナースステーションへ持ってきてください」

 

 

手術当日はシャワーに入れないので、ここで綺麗サッパリになりました。

 

ストップウォッチをナースステーションへ返して病室へ戻る途中、「〇〇さんですか?栄養士の〇〇です。食べ物のアレルギーなどはありますか?」

 

「特にないです」

 

この返事が後々後悔することに…

 

 

 

病室へ戻り、やっとくつろいでいると、

 

コンコン「〇〇さん、失礼します」

 

今度はナニ…マダナニカサインスルモノガアルノデスカ…

 

「入院診療計画書の説明になります。今回の入院計画がこちらになります。」

 

入院のしおりと言いますか、4日間の入院のそれぞれの工程が記されていました。

薬、入浴、排泄、検査、達成目標などが記されています。

 

 

コンコン…

 

もうサインするものはないでしょ!

 

続く

 

入院初日色々

コンコン、「〇〇さん、失礼します」

 

看護師さんが入ってきました。

 

「お部屋の説明と入院の説明をしますね」

 

入院時の注意事項や、部屋の備品の使い方を一通り教えてもらいます。

 

「あと、コチラのリストバンドを取り付けますね」

 

このリストバンドがとても大切で、病棟への出入りや、薬の照合などに必要なのだそう。

 

「ではこちらにサインお願いします」

 

今日で何回目?のサインをして、看護師は戻っていかれました。

 

しばらくして…コンコン「〇〇さん〜」

 

また違う看護師さんが入ってきました。

 

「検温と血圧測定しますね~。あと、身長体重も測定するんで、ナースステーションまでお願いします。」

 

ナースステーションへ行き、身長体重を測り、病室へ戻る。

 

 

コンコン「〇〇さん、失礼します」

 

今度は看護師さん二人。一人は新人ぽい若いスタッフ。おそらく研修とかの付き添いかな?

 

「ご家族の緊急連絡先の記入お願いします」

 

(はいはい〜♪なんでも書きますよ〜)

 

 

 

またしばらくして、コンコン「〇〇さん、今から麻酔科へ行って説明を聞いて頂いて、同意書にサインしてもらいます」

 

(今度は麻酔科…なかなかのんびり出来る時間がない…)

 

麻酔科は別の病棟にあるので、看護師さんに付き添ってもらい、麻酔科の診察へ。

 

色々と説明や問診を受けて、

 

「ではこちらの同意書にサインお願いします」

 

(またサイン…。手術する方も、される方も大変だな)

 

病室へもどり、今度こそゆっくり…

 

できないです…

 

続く