病院食

コンコン、「〇〇さん。夕食です」

 

「やった!そう言えばそんな時間だ!」

 

 

 

「…………、少ない………」

 

ここが病院だったことを忘れていました。

 

いくら私が健常者でも、カロリーや栄養素が計算された食事。

 

今夜のメニューはタチウオの幽庵焼き、キャベツの肉味噌炒め、人参とインゲンの和物、ご飯は180g。

 

食べてしまえばそこそこ満足感は得られるのですが、普段マラソン、自転車をしている私にはかなり物足りないもの。

 

完食後、下膳するのと同時に、コンビニへ買い物に行きました。

 

「うーん、お菓子と甘いものが欲しい…」

 

ということで、パウンドケーキとおかきを買って帰りました。

 

 

病棟のフリースペースでプロ野球を見ていると、

入院されているお婆さんが声をかけてくれました。

 

「あなた若いんだから、入院中も体を動かさないといけないよ。私はご飯を食べたらいつも動くようにしているんだわ」

 

「そうですね、入院中は運動不足になりますもんね」

 

もちろん、骨髄採取なのですぐに退院しますとも言えず。

 

 

血液内科に入院されている方は、何ヶ月も入院されると聞きます。おそらくこのお婆さんも。

 

病棟ですれ違う方々は、おそらく放射線治療によるものが、スキンヘッドにされている方や、帽子を被られている方も多く、明らかに顔色の優れない方もおられました。

 

こういった方々の中に健常者が入院するのは、なんだか変な感じです。

 

 

コンコン、「〇〇さん、就寝前の検温です。これからは水分のみで、食物は食べないでください。水分も明日6時以降は摂らないでくださいね。」

 

明日の手術は9時から。

やっと辿り着いたという安堵と、手術、全身麻酔という初めての事に対する不安、色々な気持ちが交錯する一晩を過ごしました。