シャワー
麻酔科の面談から戻り、再び通信教育をしていると、
コンコン、「〇〇さーん、薬剤師の〇〇です」
「退院後のお薬の説明になります。処方されているのは、痛み止めと鉄剤になります。痛み止めは、腰の痛みの酷いときに、鉄剤は2週間、朝食後と夕食後に飲んでください。」
鉄剤、貯血の時も飲んだのですが、う〇こがびっくりするぐらい黒くなります。
あと少し便秘気味になったような…。
なので、できることならあまり飲みたくありません…。
しかし、今回は骨髄という未知なるものを採取されているので、処方された通り飲みきりました。
夕方になって、「コンコン、〇〇さーん、お風呂の時間です。準備しますね」
看護師さんに、左手のカテーテルにラップを巻いてもらいシャワールームへ。
家ではシャワーは毎日欠かさず入っでいたので、1日入らなかったのは何年ぶりでしょうか。
(左手が動かせないんで洗いにくい………)
体も心もサッパリ。
通信教育は少し休憩して、夕食が出てくるのを待ちました。
麻酔科
昼食も食べ終わり、通信教育を再開していると、
コンコン、「〇〇さーん」
「麻酔科のの診察があるので、準備してください、〇〇さん、一昨日行った麻酔科の行き方わかりますか?」
「ちょっと自信ありません…、病院が広すぎて迷路みたいなんで……」
「そうですか…、ちょっと付き添える人を探してきますね」
大の大人が付添い…、少し恥ずかしいですが、ちょっとしたショッピングモールより大きい病院です。地図を渡してくれたらたどり着けますが、とくに標識もありません。
コンコン、「〇〇さん、麻酔科まで付添いますね」年配のおそらく看護助手さん?らしい人が付添いで来てくれました。
「行き方だけで大丈夫です。帰りは何とか自分で帰るんで、すみません」
麻酔科に着くと、3人ほどすでに待合室にいました。
少し待って「〇〇さーん、お入りください」
「〇〇さん、生年月日とお名前フルネームでお願いします」
「〇〇年〇月〇日、〇〇です」
「術後の調子はいかがですか?」
「昨日は麻酔酔いでしんどかったですが、今は大丈夫です」
特に何てことない診察を終えて病棟へ。
病棟へ戻るときに、色々な患者さんとすれ違いました。
ベッドで運ばれる人。車椅子を押されてる人を。点滴をしながら歩いている人。
この病院で1番健康な患者って私だよなぁ、と思いながら、患者さん人間観察をしながら病室へ戻りました。
きゅうり
コンコン、「〇〇さーん、昼食です」
通信教育してたので、午前中はあっという間に終わりました。
さて、お昼ごはんのメニューは………、
「!?」
親子煮(親子丼のご飯無し)、イカとセロリの炒め物、キノコのドレッシングあえ。
このキノコのドレッシングあえが………、キノコのというより、きゅうりのドレッシングあえ(キノコ添え)というぐらいきゅうりがメインです。
私は大のきゅうり嫌いでして………、
なんとかキノコだけでも食べようと努力したんですが、キノコもきゅうりに汚染されておりました。
子供の頃から、出されたものは残さないと躾けられてそだったのですが、きゅうりだけはどう頑張っても、駄目なんです。(匂い、味、歯ざわり、………きゅうり好きの方ごめんなさい)
後で嫁さんにそのことを言うと、「最初に栄養士さんに食べられへんもん言わんかったん?言ったらメニュー変えてくれたりするで」とのこと。
てっきり私は、報告するのはアレルギーだけだと思っていました。それなら前もってアドバイスしておくれよ!
少し申し訳ない気持ちで、看護師さんの目を気にしながら下膳しに行きました。
少しブレイク
昨日はツイッターのニュースを見て驚いた事が1つ。MBSの山中真アナウンサーの骨髄提供のニュースです。
私、関西に住んでいるため、テレビで山中アナウンサーを拝見する機会もあり存じ上げております。
個人的には好きでも嫌いでもなかったのですが、九州豪雨の取材中、Twitterかブログに不謹慎な写真を掲載してしまい、ネットでだいぶ叩かれていたのを覚えています。
今回の記事を読んで、とても嬉しく思いました。アナウンサーという多忙な仕事の中、骨髄採取のために休暇を取ったり、採取後にこうやって骨髄バンクのことを発信していることは、とても素晴らしい事だと思います。
最近はこういった著名人の方が、ドナーになられたという記事はほとんど見ることがいので、著名人の方々の力を借りて、もっと骨髄バンクが、骨髄移植の事が世の中に広がれば、と思います。
3日目朝
いつも通り朝6時に目が覚めました。
麻酔酔いもなくなり、気持ちの良い朝。
コンコン、「〇〇さん、おはようございます。お加減いかがですか?」
「麻酔酔いは全くなくなりました。ありがとうございます」
「良かったです。朝の採血しますね。右腕だしてください」
手際よく採血してもらい、
「もうすぐ朝ごはん持ってきますね」
きのうの晩はゼリーだけだったので、すでにお腹ペコペコ。
コンコン、「〇〇さん、朝ごはんお持ちしました。」
やったー!ようやく固形物が食べられる。朝食のメニューはロールキャベツ、食パン2枚、いちごジャム、マンゴー、ヨーグルト、牛乳。
「うまい、うまい」
あっという間に食べ終わり、少し歩きたかったので、自分で下膳しに行きました。
朝の8時過ぎだというのに、看護師さん達はすでに忙しく働かれています。
(嫁さんもこんな感じで働いてるねんなぁ。感謝せなあかんなぁ)と思いながら、ナースステーションを横切りフリースペースへ。
今朝はまだ誰もいませんでした。
テレビをつけて少し休憩。
自販機でお茶を買い、病室へ戻りました。
病室でゆっくりしていると、
コンコン「〇〇さん」
今回骨髄採取して頂いた担当医師全員での回診でした。
白い巨塔(古いですね(笑))の財前教授のあの感じまではいきませんが…
(ホントにあるんだ……)
「〇〇さん、昨日はお疲れ様でした。傷口見せて頂きますね………。大丈夫ですね。特に問題ありません」
「骨髄を提供した患者さんの先生から、無事に移植は終わりましたとメールが届きましたよ。」
「そうですか。良かった…」
昨日は麻酔酔いでそれどころではなかったですが、先生の言葉を聞いて、本来の目的を思い出しました。
「では〇〇さん、お大事になさってくださいね」
そう言うと、皆さん病室を出ていかれました。おそらく他の患者さんも診て回られるはず。ホント大変なお仕事です。
無事に移植されたと聞いて、ひとまず私の役割も終わり。残りの入院時間は自分の為に使うことにしました。今月中に修了しないといけない温泉ソムリエの通信教育に励むことにしました………。
(温泉ソムリエは私の仕事内容とは一切関係ありません。あくまで興味本位です)
生理食塩水
ゼリーを食べ終わり、そろそろ寝ようと思うと、
コンコン、「〇〇さん。」
担当医の先生が入ってこられました。
「麻酔酔いはどうですか?」
「晩ごはんは食べれなくて、さっきゼリーを買ってきてもらいました。すこしマシになりましたが、まだ酔った感じはあります」
「ちょっと長引きすぎですね、水を流しましょうか」
そう言って先生が病室を出ていくと、しばらくして点滴を1つ持ってこられました。
「お水流しますね」
「これって生理食塩水ですか?」
「そうですよ」
貯血のときにも流してもらった生理食塩水。
どういう効果があるのかは、その時は聞きませんでしたが、後で嫁さんに聞くと、体液薄くして尿として不純物を出すのを促すんかなぁ?とのことでした。
点滴されてそろそろ消灯時間。
すると受け持ちの看護師さんが入って来られました。
「〇〇さん、お加減いかがですか?」
「なんだかマシになった気がします」
「良いことしたのに、しんどくなるのは嫌ですよねぇ。〇〇先生が〇〇さんの事、だいぶ気にしていましたよ。麻酔酔い大丈夫かなぁ?って」
「ホントですか?」
「〇〇さんは大丈夫なんで、先生はもう帰ってくださいって言っときました(笑)。」
(私より全然若いけど豪快な看護師さんだなぁ…嫌いじゃないけど)
「寝る前に腰のテープ交換しますね」
すると手際よく腰のテープを新しいものに交換してくれました。
「では〇〇さん、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
考えすぎかもしれませんが、骨髄採取は手術が終わってしまえば、病院からしたら私はリスクでしかなくて、早く退院してもらいたい人。
しかし手術後、担当医師の先生や看護師さんにとてもよくして頂きました。
入院中看護師さんの事が好きになってしまう人がいるのもわかる気がします(笑)
それを帰ってから嫁さんに伝えると、冷めた顔で、「それ、お金もらってるからやで。そんなん仕事やもん。勘違いしたらあかんよ」
ガーン………。確かにそうだろうけど、夢も希望もない事言わなくても………。「人の為に良いことしたから皆優しくしてくれてるんかもね」ぐらい言ってくれても………。
こうしてあっという間でもあり、長い1日がおわりました。
麻酔酔いは続くよどこまでも
昼ご飯を食べで以降、再び麻酔酔いが酷くなってきた私。
ずっと横になっていたいものの、訪問者は続きます。
コンコン、「〇〇さーん」
主治医の先生が入って来られました。
「〇〇さん、お疲れ様でした」
「こちらこそありがとうごさいました」
「体はどうですか?どこか痛いところとかありますか?」
「痛いところは無いんですが、頭がくらくらして、車酔いしてるみたいです」
「麻酔酔いですね、手術から時間も経ちましたし、もうすぐ収まると思いますよ。ゆっくり横になっていてください。」
先生が出ていかれて、また泥のように眠った私。
コンコン、「〇〇さーん、夕食です」
「………、はーい…」
まだ気持ち悪い。。。
「大丈夫ですか?こちらにご飯置いておきますね」
「ありがとうございます。なかなか気持ち悪いのが取れないです」
「ゆっくり食べてくださいね」
メニューは牛肉の甘辛炒め、だし巻き卵、カリフラワーとハムのサラダ、白米200g。
お腹が空いていればペロリの量ですし、どれも美味しそう。ただ…
一口お肉を入れましたが、いくら噛んでも唾液が出ない。全く飲み込めない。
「あかん、気持ち悪い……」
食物を口に入れたからか、気持ち悪さが更に悪化してしまい、夕食はそのままにして横になりました。
コンコン、「〇〇さーん、大丈夫ですか?しんどくて食べらませんてましたか。下膳しますね」
目が覚めて時計を見ると20時。2時間寝たからか、少し酔いがマシになっていました。
「すみません、すぐに食べます」
「ごめんなさいね、2時間経ったものは食べたらいけない決まりになっているんですよ。食中毒の恐れがあるので。」
「えーーー!」
ガーン、全く食べれそうなのに…、確かにもし病院で食中毒が起こったら大問題ですもんね。
「今晩受け持ちの看護師に、コンビニで何か買ってきて貰いましょうか?」
「え?!そんなことしてもらえるんですか?」
「動けない患者さんに特別にすることもあるんです」
「じゃあ、ゼリー的なものをお願いします」
しばらくして、
「〇〇さん、今晩受け持ちの〇〇です。ゼリーですね、買ってきますんで、お金頂いてもいいですか?後でお釣りとレシート渡しますね。」
そういって数分後、看護師さんがたらみのゼリーを買ってきて下さいました。
「うまい………」
昼ご飯は気持ち悪くて、あまり味がわかりませんでしたが、このゼリーの味は今でも忘れられませんでした。